アドバイザーより

療育ルームりんごの木では、平成28年4月よりアドバイザーとして大正大学臨床心理学科教授 玉井邦夫先生を迎えました。
療育の質の向上のため、定期的に職員向け研修会やケース検討会にて職員への指導や、
保護者向けの勉強会を開催していただいています。

療育ルーム「りんごの木」をご利用なさるみなさまへ

大正大学臨床心理学科の玉井といいます。りんごの木の坂﨑さんとのご縁があり、りんごの木の活動にアドバイザーのような形で参加させていただいています。

りんごの木は「療育ルーム」を名乗っています。私は、よく「療育というのは英会話学校のレッスンだ」と喩えます。
英会話学校のレッスンは(マンツーマンレッスンならとりわけですが)、その人の会話力や渡航の目的に応じたレッスンをしてくれます。
それはとても素晴らしいことです。しかし、どんなに優れたレッスンを受けても、英会話学校から出たとたんに、まったく英語と関係のない生活をしていたら、生きた会話力はなかなか身につきません。個別のレッスンで習ったことを、多少ブロークンでもいいから「使ってみる」場がある人が、いちばん伸びるのだと思います。療育ルームでの体験は発達の「例題」です。獲得してほしいと願う「力」を定着させるのは、「例題」だけではなく「練習問題」のくり返し・・・つまり、日々の生活です。

りんごの木のスタッフは、子どもが登る発達の階段の段差を、「標準」よりも細かく見極めようとしています。
そのことを通じて、「できるようになったわけではないけれど、『できなさ』が少し違ってきた」ということを見抜こうとしています。
そして、そのような「発達の芽生え」が、日々の生活の中でどんなふうに現れてくるのかを伝えたいと思っています。

りんごの木で過ごす時間が、みなさまとみなさまの子どもさんにとって、稔りの多いものになりますことを願っています。

アドバイザー プロフィール

玉井 邦夫

臨床心理士。
山梨大学教育人間科学部准教授を経て、現在、大正大学心理社会学部臨床心理学科教授。
公益財団法人日本ダウン症協会代表理事。全国心身障害児福祉連盟評議員。日本発達障害福祉連盟理事。
著書に「発達障害の子どもたちと保育現場の集団づくり 事例とロールプレイを通して」(かもがわ出版)、「不思議だね!?ダウン症のおと
もだち」(ミネルヴァ書房)、「本当はあまり知られていないダウン症のはなし」(神奈川LD 協会)など。